株について1から勉強するブログ

理系職サラリーマンの独学経路の記録。先生は本(だいたい図書館)とネット。

会計編2:複式簿記と仕訳

複式簿記をもう少し具体的に

会計編2。前回のエントリ複式簿記の目的を述べたが、今回はもう少し具体的な中身を説明しようと思う。また、基本的には「仕訳は要らない」のだが、最低限知るべき仕訳の考え方がある。今回は、これらを整理したい。

複式になる理由

お金が「別の姿」になる様子を記録するために複式簿記を使う。このお金が「別の姿」になることを、取引という。要はお金と「別の姿」を交換するということである。つまり複式簿記を使うと、取引の様子を記録できるわけだが、なぜ記録できるのか。それは、複式簿記によって、取引で失うものと得られるものを両方記載するからである。たとえば商品を100円で仕入れたとすると、「100円を払った」と「100円分の商品を入手した」の2つを記載する。次節以降に具体的な表を示すが、この2つを左右に分けて同じ行に記載することで、取引の様子を記録する。ここで注意してほしいのは、左右に書かれたこの2つは、金額が等しいということだ。

仕訳と勘定科目

さきほどの例を複式簿記で記載してみよう。

借方 貸方
仕入 100 現金預金 100

ここで、ハードルがある。2つ、この表のルールを覚える必要があるからだ。
まず1つ目は、借方と貸方(かしかた・かりかた)である。名称に意味は無い。だが、左右を逆にしてはいけない。つまり、借方は左、貸方は右という意味を持っている。なぜ左・右という言葉にしなかったのか、URLがHTTP://という冗長な文字列から始まることに似た雰囲気を感じる*1が、とにかくこれだけは暗記するしかない。借り・貸しの送りがな「り」「し」に注目して、払いの方向で左と右を覚える、というのが一般的らしい。私の場合、借方と貸方の漢字を音読せよ言われると、読み間違えるので、もう少しいい覚え方は無いものかと思うのだが…今のところ見つかっていない。
次に2つ目。この取引は「商品を100円で仕入れた」ということだが、仕入れたこと、100円払ったことを表すために「仕入」や「現金預金」という名称を使っている。これらの名称を勘定科目と言う。帳簿記入する人によって記録内容が変わるのを防ぐ目的で作られた仕組みで、取引内容に応じて勘定科目名称が決まっている*2。とはいえ、この勘定科目は膨大な数があるので、それらを覚える必要はない。しかし、勘定科目は主に5種類に分別されるのだが、その5つの分類は覚える必要がある。もちろん、どの科目がどの分類に属するかを覚える必要はない*3。5つの分類は、資産、負債、資本、収益、費用の5つ。ほとんどの勘定科目はこれらに分類される。この分類をなぜ覚える必要があるかというと、分類ごとに帳簿の左に書くか右に書くかが決まっているからである。

5つの分類(資産、負債、資本、収益、費用)

おおまかに説明したい。後日具体例を示しながら説明するので、今の時点では「ふーん」という程度の理解でいい。
資産とは、現金や将来現金になる予定のモノ。前者を流動資産*4、後者を固定資産という。流動・固定あわせて、会社が持っている資産(お金になるもの)である。
負債とは、資産の逆で、将来現金が減る(出て行く)予定のモノを言う。名前の通り、銀行から借り入れたお金などは「借入金」という科目名で負債カテゴリに入る。簡単に言えば会社の借金である。
資本は、負債に似ているのだが、株主分のお金のこと。つまり負債と違い、返済の必要が無い。資産運用方法の比較 - 株について1から勉強するブログで投資と融資の違いを説明したが、出資された(投資を受けた)お金のことである。ただしそれだけでなく、利益が有った場合には利益も資本に含まれる(株主のものとなる)ため、正しくは「資産から負債を引いたもの」である。これは、会社の持っている資産から借金を除いた分が株主の持ち分ということを示している。余談だが、万が一株式会社が解散すれば、資本が株主に分配される。つまり、形式的には確かに持ち分なのだ。現実的には解散など無いが*5
この資産、負債、資本が、まず1セットと思ってほしい。資産=負債+資本である。(資本=資産−負債)
次に、収益と費用。これらは名前の通りで、お互い対応している。会社が事業によってお金を儲ける(または損をする)時に使われ、要するに費用を支払って収益を得る、ということである。
ここで1点、ややこしいが大切なポイントがある。それは、「将来お金を増やす要因か」「いまお金が増えた原因か」という視点を持つことである。たとえば収益と費用は、将来お金を増やすために費用が使われ、収益としていまお金が増えたと理解する。こう理解すると、資産・負債・資本とのつながりが見える。この3つは将来お金を増やすために資産が計上され、負債や資本としていまお金が増えたと理解する。
なぜこのようなややこしい理解をせねばならないかというと、5カテゴリの各項目を左右(借方貸方)どちらに書くのか理解するためである。複式簿記では「お金がどんな姿に変わったか」を左側(借方)に書き、「姿を変えた理由」を右側(貸方)に書く。上述の考え方に従うと、費用と資産は「お金が変わった姿」を表すため左側(借方)に書かれ、残りの収益・負債・資本は右側(貸方)に書かれる。具体例は後日の説明とするが、おおまかなイメージとしては、

借方 貸方
資産が増えた なぜなら借りたため
費用を支払った なぜなら収益を得たため
資産が増えた なぜなら株式を増やしたため

という感じである。
ここまでの説明で違和感があるとすれば、おそらく、時間的概念の説明が抜けているからだろう。いつの時点での話なのか、それともある期間の話なのか。これも重要な考え方なので後日説明するが、まずはこの辺で。

参考

カラー版 会計のことが面白いほどわかる本<会計の基本の基本編>

カラー版 会計のことが面白いほどわかる本<会計の基本の基本編>

私は旧版を読みました。初心者視点で読みやすい。
決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)

これまた分かりやすい。上の本と合わせて読むと理解が進む。

*1:分かる人にしか分からない例えで申し訳ない

*2:あくまで取引内容によって決まるのがミソ。たとえばボールペンを買ったとして、運送屋が事務用品として買ったのか、文具屋が商品として買ったのか、によって勘定科目は変わる。なのでボールペンという名称は使われない。

*3:それはつまり全ての科目を覚えることに等しいのだから

*4:厳密には現金だけではない。在庫や信用売りして回収できていない代金や近々売る予定の債権など、およそ1年以内には現金になる予定のモノを指す

*5:立ち行かなくなって解体はあるかもしれない。大抵の場合、借金だらけで分配できる資本など無いだろうが。