株について1から勉強するブログ

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会計編3:複式簿記はバランスする

複式簿記の例

さて、会計編3では、複式簿記をより具体的に説明するため、例を示す。

借方 貸方
現金預金 200 借入金 200
仕入 100 現金預金 100
給与 50 現金預金 50
現金預金 200 売上 200

※会計のことが面白いほどわかる本p97より。
この例について見ていこう。

明細を1行ずつ解釈する

まず1行目は、「借金をしたので、現金が増えた」ということ。前回のエントリで紹介した5つのカテゴリで示すと、以下のようになる。

資産(現金預金) 200 負債(借入金) 200
資産(現金預金)が200円増えた なぜなら200円の借金をしたから

次に2行目。「100円の商品を仕入れた」ということ。これは以下のとおり。

費用(仕入) 100 資産(現金預金) 100
費用(仕入)が100円増えた(計上した) なぜなら現金預金を100円使った(減った)から

次は3行目。「従業員に50円の給料を払った」ということ。これは以下のとおり。

費用(給与) 50 資産(現金預金) 50
費用(給与)が50円増えた(計上した) なぜなら現金預金を50円払った(減った)から

最後、4行目。「仕入れたものを200円で売った」ということ。これは以下のとおり。

資産(現金預金) 200 収益(売上) 200
資産が200円増えた なぜなら現金預金が50円減ったから

さて、前回のエントリの説明だけだと疑問が湧くと思う。詳細を説明していこう。

取引は大きく分けて3種類

まず、取引の種類が3つあることを知っておこう。すなわち、お金の調達、投資、回収の3つ。上の例では、1行目は資金調達。2行目・3行目は投資。4行目が回収である。これが企業の行う取引の全てであり、全て複式簿記で記入する。

貸方科目と借方科目

2行目と3行目で、資産(現金預金)が貸方(右側)に来ている点に注目してほしい。前回のエントリでは資産は借方(左側)に来る、と説明した。この説明は不十分である。厳密には「借方(左側)に来るとプラスの値になり、貸方(右側)に来るとマイナスの値になる」のだ。あくまで借方(左側)は結果であり、貸方(右側)は理由である。資産と費用は、減少する場合、理由として貸方(右側)に記載される。その例が2行目と3行目である。このような資産・費用を借方科目(借方に書くとプラスになる)という。逆に負債・資本・収益を貸方科目(貸方に書くとプラスになる、逆はマイナス)とよぶ。

時系列でまとめると

分かりやすいように、時系列順でカテゴリごとの金額増減を表示してみると以下のようになる。

行数 資産 負債 資本 費用 収益
1 現金預金 +200 借入金 +200
2 現金預金 -100 仕入 +100
3 現金預金 -50 給与 +50
4 現金預金 +200 売上 +200
合計 現金預金 +250 借入金 +200 仕入 +100
給与 +50
売上 +200

やたらとプラスの値だなぁ、ともし感じたならば、それは単式簿記の思想に従っている。複式簿記で書くと、以下のようになる。

借方 貸方
現金預金 200 借入金 200
仕入 100 現金預金 100
給与 50 現金預金 50
現金預金 200 売上 200

これは、最初に挙げた表である。もともと複式簿記だったのだから、元に戻るのは当たり前だ。この表を見ると、左右の値が等しい(バランスする)ことに気がつくだろう。つまり、資産+費用=負債+資本+収益になるのである。予め断っておくが、これは結果論ではなく、こうなるように簿記のルールが決められたのである。なぜこのようなルールに決めたかというのは、複式簿記の目的を達成するため、すなわち、取引の様子を記録するためである。昔の偉人が、企業活動の本質は業種によらず調達・投資・回収の3つの取引であると考え、この3つを過不足なく記録する方法を考えた結果生まれた技術なのだ。このシステム(会計ルール)は数学のように美しいとも言われるくらいに矛盾がない完璧なものである*1

複式簿記と財務諸表

さて、話を少し整理する。複式簿記を使うと、資産、負債、資本、負債、収益の5項目は以下のように記述され、左右が等しくなる。

借方貸方
資産 負債
資本
費用 収益
このうち、上の部分(資産・負債・資本)を表すのが貸借対照表(バランスシート、BS)、下の部分(費用・収益)を表すのが損益計算書(Profit and Loss statement 、PL)である。ただし、そのまま抜き出すわけではない。もしそのまま抜き出すと左右が等しくならないからだ。というのは、冒頭の例でBSとPLを書いてみると分かる。時系列で5分類にまとめた表の最下部の数字を使うと、以下のように書くことができる。
借方貸方
現金預金 +250 借入金 +200
資本なし
借方貸方
仕入 +100
給与 +50
売上 +200
こうなると貸借対照表をバランスシートとは呼べない。こうならないように、収益−費用、つまり損益(プラスなら利益)によって、以下のように調整する。
借方貸方
現金預金 +150 借入金 +200
利益 +50
この利益は資本である。会社が得た利益は株主に帰属するからである。このように書けば、左右がバランスすることがわかるだろう。
また、実際のPLは複式簿記のようには書かれず、収益-費用の形式で上から順に書かれる。およそのイメージだが、以下のようになる。

損益計算書
売上高 200
売上原価 -100
売上総利益 100
販売費 -50
営業利益 50

表の最下部の利益が、バランスシートの資本の欄に入ることで、バランスシートが左右バランスするようになる。このように、BSとPLが繋がることで、「資産+費用=負債+資本+収益」が成り立っている。

以上が、簿記の基礎知識である。次回から、BSやPLの実物を見ながら細かい話をしようと思う。

参考

会社法対応 会計のことが面白いほどわかる本<会計の基本の基本編>

会社法対応 会計のことが面白いほどわかる本<会計の基本の基本編>

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)

*1:純粋な会計ルールについて。法律は完璧とは言えない